【踏まれても立ち上がらないことにした】雑草の生き方に救われる|書評
雑草と言えば「根性」のたとえになることが多いですよね。
私もスポーツ選手が使う「雑草魂」の言葉から、そう受け取っていました。
『踏まれても踏まれても立ち上がる雑草のように強く!』
そうすることが美徳だと思っていたんです。
ところが・・・・。
2023年7月新刊の【踏まれても立ち上がらないことにした】(著:稲垣真衣)によると、踏まれた雑草は立ち上がらないんだそう。
いったいどういうことなんでしょう。
さっそく読んでみたところ、これまで知らなかった雑草の生き方を知ることができました。
著者は雑草の生き方を学ぶうちに、自身の生き方のヒントを得たのだそうです。
あなたも雑草の世界を覗いてみたくありませんか?
アリさんにでもなったつもりで、雑草の生き方を見てみよう。
いつも全力で頑張る子育てママさんへ
私のX(旧Twitter)には、いつも全力で頑張る子育てママさんが多くいらっしゃいます。
- 子育てをしながら家事も仕事も役割が多いママ
- 子どもの栄養・しつけ・教育に妥協を許さないママ
- 子どもの成長を常に求め続けるママ
二人のサッカー部男子を育て終えた私ですが、フォロワーのママさんたちはみなさんすごくエライ。
役割が多いママ
- 朝起きると朝食を作って子どもたちや夫を起こし、お弁当まで準備します。
- 嫌がる子供をなだめながら保育園に送り、やっと出勤の支度。
- 職場ではきっちり仕事をして、帰宅途中で子どものお迎えや買い物を済ませると、夕食の準備。
- 好き嫌いの多い子どもたちにイライラしながらご飯を食べさせ、後片付けをしてもまだ入浴も洗濯も待っています。
- 遅く帰宅する夫が脱ぎ捨てたシャツや靴下まで片づけ。
子育てママさんは、何役も演じる俳優さんのよう。
手抜きを許さないママ
- 子どもの成長には栄養価の高い食事がたいせつ。
- どんなに忙しくても、コンビニ弁当やお惣菜だらけの夕食なんてありえない。
- お友だちとは仲良く遊んでほしいし、ケンカなんて絶対にダメ。
- 小さいころから英語にも自然な形で触れさせたいし、小学生のころからいい塾に通わせたい。
- 親が子供にしてあげられるのは、すべてにおいて最高質のものを提供してあげること。
手抜きを許さず、自分にだけ厳しいママさん。
子供の成長を促すママ
- うちの子はまだ寝返りができない。
- うちの子だけオムツ取れるの遅くない?
- スイミングスクールって通わせた方がいい?
- 近所の子はみんな塾に通い始めたらしい。
- スマホばかり見てテストの成績が上がらない。
ついつい、わが子とよその子をくらべて、心配になるママさん。
Xのコメント見るたびにアドバイスしてあげたくなるけど、余計なお世話だから言わないでいました。
そんな頑張り屋のママさんに読んでほしいのが
【踏まれても立ち上がらないことにした】
です。
この本【踏まれても立ち上がらないことにした】を知ったきっかけ
私がこの本を知ったきっかけは、Twitterの情報からでした。
出会いは「どんぐり所長」のRT
ある日、Twitter仲間の「どんぐり所長」(@donguriweb)さんが、ラジオの情報をリツイートしたんです。
それは、雑草をテーマに人の生き方を語るコーナーの紹介でした。
ラジオから流れてきた「雑草の世界」
「Otona no Radio Alexandria」はJFN加盟局で放送されるお昼のラジオ番組で、お昼前のひと時に流れるプログラムが「生き物の物語」。
どんぐり所長がリツイートしたのは、そのコーナーに毎月出演してる「ぜきさん」の紹介だったんです。
たった数分間のコーナーでしたが、ゆっくりとした口調で雑草の生存戦略を語るやさしい声に、すっかり聞き入っていました。
「生き物の物語」は11:40頃から放送される、約4分間のコーナーです。
「ぜきさん」のブログやYouTubeに共感
「ぜきさん」のことを知ってから、TwitterをはじめブログやYouTubeものぞいてみました。
そこには雑草の生き方がたくさん紹介されていました。
田舎生まれで田舎育ちの私には、雑草など珍しくもない生き物で、これまで興味を持つことがありませんでした。
しかし、雑草の生存戦略を知ってしまうと、道端の雑草がいちいち気なってきました。
【踏まれても立ち上がらないことにした】の著者はだれ?
「踏まれても立ち上がらないことにした」の著者は、稲垣真衣さんとおっしゃいます。
稲垣さんのSNSでは、プロフィールに「雑草の生き方研究家」と書いてあります。
- 国立大学農学部卒業後に就職した会社で適応障害に
- 大学恩師の言葉に触れ雑草の生き方に興味を
- 雑草の生存戦略が人の生き方のヒントになることに着目
ラジオで聞く「ぜきさん」の語り口調が、本当にやさしくて癒されるんです。
【踏まれても立ち上がらないことにした】で「ハッ」とさせられた3つの言葉
私は自分のことを「花」だと思ったことはありません。
どちらかというと道端に生える「雑草」です。
なので、美しい花を咲かせる人々に負けないよう、雑草らしく「力強く」「ド根性」で頑張ってきました。
ところが「ぜきさん」によると、雑草はド根性で生きているわけではないのだそう。
「雑草魂」ってよく言うけど、どうも誤解らしいんですよ。
そこで、本の中でハッとさせられた言葉を、3つだけ紹介します。
① 休んで眠ろう
「休眠」することが、長い目で見ると強さになるんです。
自分に適している場所だと思ったら、
今が成長するときだと思ったら、
雑草は芽を出します。
【踏まれても立ち上がらないことにした】「稲垣真衣:著」P47から引用
雑草はどんな環境でもド根性で芽を出していると思ったら、そうじゃないのだそう。
自分が活躍できる場所でないと思ったら、芽を出すことすらやめて休んで眠るんです。
どんなに頑張っても成果が出ないときってありますよね。
もし時期や場所が自分の適性と違うのなら、休むことも悪くないのかも。
② 踏まれたら立ち上がらない
雑草は何度も何度も踏まれると、立ち上がることをやめてしまいます。
雑草は踏まれながらどうやって花を咲かせようかと工夫します。
踏まれながら花を咲かせ、タネを残すということに、エネルギーを使うのです。
【踏まれても立ち上がらないことにした】「稲垣真衣:著」P53から引用
雑草にとって大切なことは花を咲かせてタネを残すこと。
そのために、寝たままでもタネが残せるなら、無理に立ち上がりません。
理不尽な目にあって立ち上がれなくなっても、心配なし。
本当に大切なことだけにエネルギーを使う方が良いんだと知りました。
③ 無理に成長しようとしなくていい
雑草は無理に成長しようとせず、自然に成長しています。
雑草は、がんばって成長しているわけではありません。
がんばっていないけれど、茎は伸びてしまうし、葉っぱが増えてしまいます。
【踏まれても立ち上がらないことにした】「稲垣真衣:著」P53から引用
雑草は、成長する方向もスピードもさまざま。
成長する環境さえ整っていれば、がんばらなくても自然に成長していきます。
子どもだっていつのまにか親よりも背が高くなっていますよね。
がんばらなくても伸びる子は勝手に伸びます。
また、親よりも背が低いからと言ってずっと子どもなわけでなく、ちゃんと大人になりますよ。
雑草の【雑】ってどういうこと?
はたして雑草とは、その名の通り「雑」な草なのでしょうか?
花屋には美しい花が、八百屋には美味しい果物がたくさんそろっています。
それらはち密に・丁寧に作られた作物で「雑」とは無縁の生き物です。
それなのに、なぜ「雑」な草の生き方から人の生き方を学ぶ必要があるんでしょうか?
著者は本文で「雑草」について次のように書いています。
「雑」に悪い意味はありません。
「雑」とは「いろいろなものが混ざっている」という意味です。
「雑草」の意味は「いろいろな草」ということなのです。
【踏まれても立ち上がらないことにした】「稲垣真衣:著」P137から引用
なるほど「多様な草の生き方を考える」といったところでしょうか。
「雑草」以外に「雑」を使った単語を並べると、おもしろいことが分かりますが、そのあたりは本文にありますのでここでは控えておきます。
「雑」をポジティブにとらえるセンスがうれしいですね。
まとめ
【踏まれても立ち上がらないことにした】は、がんばりすぎてる人に雑草の「のんびりライフ」を紹介した本です。
こちらの本、29の雑草の物語を紹介していますが、160ページおさめられていて非常に読みやすいです。
なにより、津久井直美さんの挿絵がかわいくて、この本の魅力を引き上げています。
- あっという間に読める
- いつでも読み返したい
- 親子で読める
いつも全力で頑張っているあなた。
ちょっと休んで本を読んでみませんか。